MEMBER
全国大会優勝。それでも左官の道は果てしない
OHNO
2002年
新卒
広島県 広島市 - 工事課長
概要
第50回全国左官技能競技大会で優勝した、藤原組のベテラン職人。キャリア20年を超えてなお「まだまだ勉強中」と語るOHNOさんに、左官の奥深さを聞きました。
Q. 学生時代、何かに夢中になっていたことはありますか?
A. アルバイトを一生懸命していましたね。土木の仕事と、旅館の皿洗いです。土木の会社が梨園を経営していて、草を刈ったり、時期が来たら梨をもいだり。旅館では皿洗いとベッドセッティングをやっていました。どちらも親の紹介です。当時は携帯代を自分で払わないといけなかったので。彼女と電話していたら余計にかかるんでね(笑)。
Q. アルバイトで楽しかったことはありますか?
A. やっぱり褒められたら楽しいですよね。皿洗いをしていたら、そこの料理長がかわいがってくれて、味見をさせてくれたりとか。
Q. 藤原組を知ったきっかけと、入社の決め手を教えてください。
A. きっかけは求人票です。普通科の高校だったんですが、「建設関係、広島で」と先生に伝えて、取ってきてもらいました。島根から出たかったんです。広島は隣で近かったので。決め手は、掲示してあった給与が一番高かったこと。当時は十代と若く、仕事を中身で選べるほどの視野はなかったです(笑)。
Q. 入社前に不安はありましたか?
A. 特になかったですね。とにかく家から出たかったので、「内定したら広島に行くんだ」と最初から決めていました。
Q. 現在の仕事内容を教えてください。
A. 100パーセント現場です。職長という立場で現場を管理しながら、次の工程で入ってくる業種(他社)のために、自分たちの工程を終わらせていく仕事が多いですね。工程表の中で「いつからこの業者が来るので、この日までにこれをやりましょう」という流れがあるので、現場の状況を見て自分たちが先にできるようにするなど、後に来る人たちに迷惑をかけないようにしていくのが大事なところです。
Q. 予定より早く終わりそうな時は、どうするんですか?
A. できることを進めていきます。現場は生き物なので、絵に描いたようには進まない。絶対どこかにダメ(手直し)が残っていたり、「今やっておいた方がいい」というちょっとしたことがあるんです。そういうのを見つけて、現場監督さんたちに話をして、自分から提案してやっていく。言われるままだと終わらないですからね。厳しい工期や難しい仕事でも、努力とコミュニケーションで期限以内に収められる。それがこの立場ならではだと思います。
Q. 全国左官技能競技大会での優勝、おめでとうございます。練習はいつから始めたんですか?
A. 実際、大会の1年2ヶ月くらい前から、ほぼ休まず練習しました。まず、やったことのないことから。課題が出る前から、石膏の置き引きから始めましたね。練習メニューは全部自分で決めました。練習の資材は会社に貸してもらって。会社が準備や段取りをしてくれたのは大きかったです。
Q. 練習で印象に残っていることはありますか?
A. ラスト2ヶ月くらいの練習の時に、年配の浜辺さんという方が一緒に練習に付き合ってくれたことです。昔、技能大会に出られていて、私がいろいろ教わってきた人なんですが、その人と最後に一緒に練習して話ができたことが、やっぱりすごく良かったなと。本番と同じように材料を練ってもらって、運んでもらって、片付けてもらったりしながら練習しました。最初は全部自分でやっていたんですが、手伝っていただくと効率は抜群に上がりましたね。自分で練りながらやっていたら、制限時間には間に合わないので。
Q. 大会で難しかったところは?
A. 全部難所なんですけどね。置き引きはやっぱり難しかったです。あとは砂壁と、蛇腹の課題。格子もめちゃめちゃ難しかった。20年やってきたのですが、最初は「時間内には絶対できん」と思いましたから。
Q. 速く、美しく塗るためのポイントは何でしょうか?
A. 材料の持っていき方を、コテで全部感じてやっていくことですね。誰が練っても同じ材料にはならないので、受け取ったら手元で具合を確認して、角度なんかを微妙に変えています。塗っている時に意識しているのは、仕上がっていくまでの過程。水の引き具合とタイミングですね。一回では綺麗にならないので、一回目の塗りの出来で、その後のタイミングも変わってくるんです。
Q. 左官における「きれい」の定義とは?
A. 今回の大会の課題で言うと、各仕上げごとの入り隅。土と漆喰の境界部分ですね。あとは、まっすぐ角が出ているか。入り隅・出隅は、誰が見てもきれいじゃないといけないところなんです。
Q. 優勝が決まった瞬間は、どんな気持ちでしたか?
A. 選ばれた瞬間は嬉しかったですね。でも実は、競技の最後の仕上げで床に砂利を敷くんですけど、その時に嫁と目が合ったのを記憶しています。「もう終わる、あと2分で終わる」と、感情が高ぶっていました。その時の光景は鮮明に覚えています。絶対優勝するつもりでいましたから。
Q. 周りの反応はいかがでしたか?
A. 社長がすぐに抱きしめてくれました(笑)。ワールドカップで優勝したみたいな騒ぎでしたね。練習に付き合ってくれた浜辺さんには、もらった金メダルをかけてあげました。同じ左官業の仲間たち、社外の方もみんな喜んでくれましたね。
Q. 日々の仕事で大切にしていることは何ですか?
A. お客さんに喜んでもらう仕事。あと、100年持つ仕事です。お金をいただくゼネコンさんたちにまず喜んでもらう。その人たちが喜んで、いい建物ができたら、そこを使う人たちが喜ぶのかなと。
Q. 「藤原組らしいな」と感じる文化はありますか?
A. 会社の行事で花見とかビアガーデンとか、イベントが結構いっぱいあるんです。それは他社にはあまりないんじゃないかなと。みんな仲がいいんですよ。私は入社して20年以上経ちますが、仲がいいのは変わらないですね。左官はチームワークがないとできない仕事なので、やっぱりそこは大事なところです。
Q. どんな時にやりがいを感じますか?
A. 誰にでもできんような仕事をやった時は、やっぱりやりがいを感じますね。この前も、中国様式の建物の屋根の棟がモルタルなんですが、それを復旧する仕事や、被爆した柱を復旧する仕事をやらせてもらいました。「誰にでもできない」と言えるのは、自分がそこに向かって努力してきた自信があるからこそかなと思います。
Q. 今後、挑戦したいことはありますか?
A. 技能大会を通じて、左官という仕事を伝えていきたいですね。こんな素晴らしい職業はないと思いますよ。一コテ一コテで作り上げていくこと。それに、工法が何百通りもあるんです。人生の中では習得できない仕事もいっぱいある、広くて深い世界。私もまだまだ勉強中です。
Q. どんな人が藤原組に向いていると思いますか?
A. 向上心があって、コミュニケーション力があって。やっぱり「仕事を覚えたい」という意欲を持って来てもらえたら、向いていると思います。
Q. 最後に、応募を考えている方へメッセージをお願いします
A. 僕が言えるとしたら、この度経験した全国大会も、藤原組という環境がないとできなかった。何でもできる会社だなと思います。
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